2022年8月25日
クロムフリー(チタン系)
実働開始
出発点は技術提携先でもある(株)中村塗装店本社でのクロムフリー勉強会からで、その後日本建築仕上学会の委員会でクロムフリーの検証が始まりました。
弊社に於ける具体的なクロムフリー検討は国内薬剤メーカー5社、海外メーカー4社(国内に窓口があるメーカー)の計9社を検討しましたが、業界で非常に高い評価のある6価クロメート(イエロークロメート)に対して見劣りする感があり当初採用するに至りませんでした。
しかし環境への配慮から何かしらの対策を取る必要があり、薬液自体にも皮膜にも6価の入らない3価クロメートと薬液には入っているが皮膜形成上は6価が入らないリン酸クロメートを検討。
3価クロメートは、かつては飲料缶にも使用されていた事もあり期待感はあったもののサイズの大きな建材に於いては非常に管理が難しく、リン酸クロメートはグリーンクロメートとも呼ばれ東南アジアでは殆どがこれであり、国内ではクロメートとして結果的に多くの実績が過去から存在していました。
この3価クロメート・リン酸クロメートを6価クロムフリーとして採用することも環境配慮として検討しましたが、弊社としては暫定的に6価クロムフリーに行くことはせず、完全クロムフリーへの移行を目指す過程で、既存の6価クロムの管理に於いても工場内での完全クローズの対策を実行徹底することと、将来のアルミ建材の再生(ダイキャスト合金等へガスケードリサイクル)に於ける高温処理で結果塗装アルミ建材の再利用に6価クロム無毒化がされることが予想されることも期待して、現在も性能信頼の高い6価クロメートを化成処理として採用しています。
弊社のクロムフリーへの取り組みは20年以上経過、最近5年間では具体的に国内唯一松伏工場が取得しているQUALICOATライセンスの認定薬剤で国内メンテナンス対応が出来る先からの選択を持って検討をスタートし、大きく分けてフッ化ジルコン酸とフッ化チタン酸が用いられている中で使い勝手の良さ(ジルコニウム元素はチタン元素と比べX線による検出が非常に難しい)と量産安定性(浴中のアルミコンタミの許容範囲が大きい)、採用実績も全米のアルミサッシ用塗装下地として80%のシェア、韓国でも建材トップメーカーの新洋金属工業をはじめ多くの企業での採用実績などを考慮して最終クロムフリー薬剤はQUALICOAT認定薬剤の(株)バルクケミカルズ・ジャパン「E-CLPS®︎2100QC」を採用した。
化成皮膜処理をする前の金属表面状態に着目してエッチングでトータル2.0g/㎡以上を減耗する事でより確実な化成処理下地を確立し、水洗の脱塩水化もAAMA・QUALICOATの基準値以下にしてより良い洗浄を行う事としました。
9m(可能サイズ8.4m)水槽への2019年11月薬液投下、その後の実働ラインでの試験検証を経て2022年1月からの製品への適用開始を宣言し、現在クロム・クロムフリー両方の化成処理対応を可能としています。